命令文における「di-動詞」
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di-は、インドネシア語の命と言っても過言ではありません。なのに、いい加減な教科書が多くて、それによって、インドネシア語の学習者の多くが混乱になります。私の授業では、成るべく、市販の教科書を読まないで、授業に来てほしい理由はいろいろあります。その理由の一つは、下記に纏めました。
疑問が増えて、逆に、混乱になる方は、申し訳ありませんが、表現や勉強不足のためなので、率直の意見を下されば、出直して研究いたします。
***************** 対格 *****************
次のような日本語の命令文に注目して下さい。
- 開けてね!
- 読んでね!
- 飲んでね!
少し難しい言い方ですが、上記の類の文は「一語文」というのです。一語文 は、文脈 の支えが必要です。文脈無しでは、「解釈」しにくいのです。
例えば、上記の「一語文」にもう一つの要素を加えるとすれば、どんな要素が一番良いでしょうか。
- 開けてね!
- 「窓を」 開けてね!
- 「あなた、」開けてね!
- 読んでね!
- 「本を」 読んでね!
- 「あなた、」読んでね!
- 飲んでね!
- 「薬を」 飲んでね!
- 「あなた、」飲んでね!
a.の要素は、文法学(文法を専門に学ぶ学問)では、「対格」といいます。簡単に言えば、「目的語」ですが、日本語では、「-を」を付けられるのが「対格」と言います。
b.の要素は、「呼格」と言います。文字通り、文の中で、「あなた!」というのは、話し相手を呼ぶための「名詞」です。
では、皆さんの語感を頼りにして、上記の一語文に、a.かb.を入れれば良いでしょうか?もちろん、自然な答えとして、a.だと思われます。
それは、何を意味するか といいますと、「一語文」の命令文の時に、「声」に出さないが、頭の中で、”対格”の「-を」が浮かんでいる大きな証拠です。
***************** di- *****************
インドネシア語 は 日本語のように、対格を記す標識「-を」がありません。しかし、インドネシア語では、「語順」の束縛が可也厳しいのです。特別な場合ではない限り(倒置)動詞の前に 「主語」「助動詞」が順番に来ます。
インドネシア語の場合、「対格主語」が動詞の前に来ると、これは、私の授業では、「モノ・被動作主」と呼ぶことが多いのですが、動詞に必ず[di-」の接頭語が来ます。
例えば:
- Adi membaca buku.
アディが 読む 本を
【解説】
【アディが】 は『主格主語』(動作主)
【本を】 は『対格主語』(被動作主)
『主格主語』が 動詞の前に 来ると、me- が付きます。
では、『対格主語』のbukuが動詞の前に来るとどうなるかと言いますと、次のようになります。
- Buku dibaca Adi.
本は 読む アディによって
本を アディが読んだ。
【解説】
di-が自然に来ます。
***************** di- *****************
従って、
次の一語文の命令文を訳した時に、
- 消すな。
- 起すな。
- 開けて!
- 読んで!
di-を付ければ良いのです。
- Jangan dimatikan!
- Jangan dibangunkan!
- Tolong dibuka!
- Tolong dibaca!
になります。
***************** 丁寧??*****************
今まで、市販の教科書を調査して来て、di-についての説明を読んで絶望しました。特に命令形で使う場合には、「丁寧さ」を表すということしか書いていないことに関することです。
では、なぜ、di-?me-とかではないの?という疑問を直接答えてくれないのです。それは、多くの教科書の著者の専門分野は、実は言語学ではないからですね。
di-を使った方が、なぜ、「気持ちがいい」かといえば、人間は、「開けて!」と言われた時に、「僕が開けろうというの?」というのではなくて、「何を」という疑問が来るからです。そして、インドネシア語では、暗示的な「何を」を表すために、di-を使うからです。それ以上の理由は、現段階では見当たりませんので、気をつけてもらいたいと思います。
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